お知らせ
【獣医師から緊急のお願い】常日頃から必ずご確認を。ペットの命を守る、誤飲・誤食の危険と対策

一般社団法人りんくう動物救急医療協会(RAEMA)です。 街がハロウィンの飾りで彩られ、楽しい季節がやってきましたね。ご家庭でも、お菓子を準備したり、飾り付けを楽しんだりしている頃ではないでしょうか。
しかし、この時期は私たち夜間救急の現場にとって、緊張感が高まる季節でもあります。
最近、ペットの誤飲・誤食によるご来院が非常に増えているのです。
楽しいはずのイベントが、一転して悲しい事故に繋がらないように。 今回は、ペットの命を守るために、飼い主様にぜひ知っておいていただきたい「誤飲・誤食」について、改めてお話しします。
▶夜間救急で、最も多い原因の一つが「誤飲・誤食」です

私たちが夜間に診察する中で、異物や中毒性のあるものを食べてしまったという「誤食」は、残念ながら非常に多い来院理由の一つです。
「ほんの少し目を離した隙に…」 「届かない場所に置いたはずなのに…」
飼い主様がどんなに気をつけていても、ペットの好奇心や食欲は、時として私たちの想像を超えてしまいます。
▶特に注意!犬や猫にとって危険な食べ物リスト

人間にとっては美味しくても、犬や猫にとっては命に関わる中毒症状を引き起こす食べ物がたくさんあります。特に以下のものは、絶対に与えないでください。
- 玉ねぎ、ネギ類: 赤血球を破壊し、貧血や血尿を引き起こす可能性があります。
- チョコレート: カカオに含まれる「テオブロミン」が中毒症状(嘔吐、興奮、痙攣など)の原因になります。特にハロウィンのお菓子には注意が必要です。
- ぶどう、レーズン: 急性腎不全を引き起こす危険があります。
- キシリトール: ガムや歯磨き粉、お菓子などに含まれる甘味料。犬が摂取すると急激な低血糖や肝障害を起こし、命に関わります。
- 人の薬、タバコ: 人間用の医薬品やタバコは、ペットにとって非常に毒性が高いものです。
- 観葉植物: ユリ科やポインセチアなど、中毒を起こす植物は数多くあります。
▶食べ物だけじゃない、お家の中の危険

危険なのは、食べ物だけではありません。
- おもちゃ、アクセサリー: 消化できないものを飲み込むと、腸閉塞の原因になります。
- 竹串、骨: 先の尖ったものは、消化管を傷つけたり、突き刺さったりする危険があります。
- ハロウィンの飾り付け: 小さな飾りや電池、リボンなども誤飲の対象になります。
常日頃からゴミの管理にも十分ご注意ください。甘い香りのついた包装紙なども、ペットにとっては魅力的なおもちゃに見えてしまいます。
▶もしも食べてしまったら…「様子を見よう」は絶対にNGです!

誤食で最も大切なことは、とにかく早く動物病院に連絡することです。
「少ししか食べていないから大丈夫だろう」 「今のところ、症状は出ていないから様子を見よう」
この「様子を見る」という時間が、取り返しのつかない事態を招くことがあります。誤食から時間が経つと、毒物が体に吸収されてしまい、治療が困難になったり、重篤な後遺症が残ったりする可能性が高まります。
何を、いつ、どのくらい食べてしまったかを可能な限り把握し、すぐに私たちやかかりつけの動物病院にご連絡ください。
▶最大の予防策は「置かない」「届かない」

誤飲・誤食を防ぐために最も効果的な方法は、ペットの届く場所に危険なものを一切置かないことです。テーブルの上、低い棚、ゴミ箱などは、ペットにとって決して安全な場所ではありません。
ご家族全員で情報を共有し、「ペットの安全」を最優先した環境づくりを、どうかよろしくお願いいたします。
ペットとの毎日が、安全で楽しい時間となりますよう、心から願っています。